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ファブール 【花の恵みに寄り添うくらし】 バッチフラワーレメディ 

私は孤独を知っている【ヘザー】

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                                 (写真はヘザーの咲く風景)

多くのプラクティショナーにとって、クライアントに勧めるのが難しいレメディの一つとして、ヘザーが挙げられます。

バッチ博士の記述では、

「だれでも良いからそばにいてくれる人を常に欲し、一定の期間一人でいなくてはならない状況におかれると 不幸せに感じてしまう」

とあり、主に孤独を癒やすエッセンスとして用いられます。

 

  • 自分のことを話さないではいられない
  • 誰でもいいからコミュニケーションを持ちたいと願っている
  • 孤独になることが耐えられない

ヘザーのレメディを必用とする人たちは、しばしばこのように表現されるため、このレメディを使うことに抵抗のある方もいらっしゃるかもしれません。

上辺に現れている状態、表されている文字を追えば確かに認めたくない気持ちになりますね。

ですが、このヘザーの根底に流れる強い孤独感に思いを馳せる時、私はどうしようもなく、このヘザーのレメディを必用とする人が愛しくなるのです。

 

ヘザーのレメディは、「愛情に飢えている子ども」と表現されることがあります。

ヘザーの、孤独になることを恐れ、誰かれ構わず、関心を集めたがる姿は、まるで母親の愛に飢える子供のようだというわけです。

このような、ヘザーのレメディを必用とする人たちの、

「愛がほしい、愛がほしい、けれど、与えてもらえない・・・」

という、どうしようもない孤独感の中でも、精一杯生き抜く術を見出そうとしている姿は、他の植物が生存できないような、養分の枯れ果てた地で生きるヘザーの姿にも重なって見えてきます。

 

ヘザーは、ツツジ科カルーナ属の常緑低木で、ヨーロッパ全土に広く分布。

酸性の土壌を好み、他の植物が生存できないような荒地や砂丘に繁茂します。

このような場所に、他に見られる植物として、ゴースが挙げられますが、これらの花がそれぞれ孤独(ヘザー)と絶望(ゴース)を表しているはとても興味深いところです。

ヘザーの生育する環境は、孤独と絶望が介在している、と言えるのかもしれません。

 

『フラワーエッセンスヒーリング』著 上野七歩子 の中で、このヘザーの資質を表すとても美しい詩が引用されていましたので、ご紹介します。

 


恋愛小説『嵐が丘』は、まさにヘザーが荒野を覆い尽くす、イギリスのハワードを舞台に描かれました。

この物語の著書エミリー・ブロンテのある一遍の詩の中に、ヘザーという植物が持つ"癒しの資質"が見事に表現されています。

 

荒野へ荒野へ、そこには足元に短い草がビロードのように生えていた。

荒野へ荒野へ、そこには丘の道が晴れ渡った空に日差しを浴びて登っていた。

荒野へ、そこには紅ひわが古びた御影石の上でさえずっていた。

雲雀(ひばり)が、野の揚げ雲雀がみんなの胸を自分のと同じ喜びでみたしていた。

いかなる言葉がそのとき起こった感情を伝え得よう。

はるかに遠く追放されてさびしい丘の端にひざまずき そこに生える褐色のヒース(ヘザー)をみたときに

 

エミリーの見つめる視線は足元から丘の道を通り、青空へ。

そして、空高く舞い上がることのできる雲雀へと、移っていきます。

彼女の心はどこまでも雲雀とともに飛翔できますが、彼女の肉体は荒野に取り残されています。

やがて、彼女は地にひざまずき、そしてヘザーの花に出会うのです。

はるか遠く追放されて、見渡す限りの世界の中で、たった1人の人間として・・・。

 


 

ヘザーのレメディは、この孤独を受け入れることを助けます。

この底知れない孤独感を受け入れ、認めることは容易なことではないかもしれません。

しかしヘザーの性質を持つ人にとって、自分の孤独を知り、認め、受け入れることはヘザーの持つ愛に繋がっています。

母親になってはじめて母親の愛が分かるように、上司になってはじめて上司の苦労が分かるように、人はその立場になってはじめて真に理解することができるのです。

 

孤独の苦しみを知っているヘザーは、同じように苦しむ人の気持ちを理解することができます。

そう気が付いたヘザーは、「私の話を聞いてほしい」と外へ外へと求めることを止め、周りの人の心の苦しみに寄り添い、その話を熱心に聞き、良い理解者となるでしょう。

相手の心を理解し、心と心で繋がった時、ヘザーの孤独は真に癒されるのかもしれません。